このあいだの日曜日、台南へ来たばかりの日本の友人を案内していたところ、城壁に興味がひかれるというので、大南門までお連れした。映画も好きな人なので、ちょうど良いと思い、大南門の前にある南門電影書院にも一緒に入ってみた。私は台南に住み始めたばかりの頃、何度かここまで足を運んではいたのだが、久しぶりに来てみたら、内部の雰囲気が以前よりもだいぶ良い感じになっていた。やはり油断せず、こまめに街歩きはしてみるものである。


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  この建物はもともと、日本統治時代の1932年に台湾放送協会の管轄下にあった6つの放送局の一つ、台南放送局として建てられた。1945年に中華民国に接収されてから1997年まで中國廣播公司の臺南廣播電臺となっていたが、2001年7月に台南市の古蹟に認定され、2010年1月から2011年末にかけて修復作業が進められた。2011年5月に台南市政府と国立台南藝術大学が協定を結び、「台南市南門電影書院」となった。


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  電影書院では事業の一環として映画に関わる小型の展示室が1階に設けられたほか、毎週金、土、日曜日に映画の上映会が行われている。映画のラインナップはHP上で確認できるが、独立系映画が中心で、興味がそそられる。忙しくなかなか時間が取れないのだが、出来るだけ行ってみようと思う。2階には二部屋あり、一つは昔の小学校で使われていたような古い木椅子と木机が並べられている。もう一つは畳敷きである。いずれも講義やワークショップなどでの使用を想定しているのだろう。


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  畳敷きの部屋の方では、天井板や壁の一部が見られるようになっている。廃材が使用されていたり、もともとが放送局だったので防音壁が仕込まれていた様子が分かる。台湾では古い建物がリノベーションされると、たいていこのように建物の構造を紹介する工夫がなされており、建築史的な勘を養う上で勉強になる。台湾のこうした試みは日本より先進的だと思う。


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  まだ4月とはいえ、日差しはかなり強くなってきた。窓から入ってくるそよ風が肌をなでると、本当に心地よい。屋外の光が強いので、屋内から窓辺を撮影すると、色のコントラストがくっきりと浮かび上がる。とりわけ木々の濃緑が鮮やかで、こういうアングルが私は結構好きである。


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  ここは観光地としてわざわざ見に来るほどのスポットではないが、地元在住者が時折来て憩うにはちょうど良い場所だと思う。

(写真は2019年4月7日に撮影)