王宏仁主編《巷仔口社會學》(新北市:大家出版,2014年)
戴伯芬主編《性別作為動詞:巷仔口社會學2》(新北市:大家出版,2017年)

 《巷仔口社會學》を日本語的なタイトルにするなら、『街角の社会学』という感じだろうか。様々な身近のトピックを取り上げて、社会学的に論じていくアンソロジーである。大学一年生や専門外の一般人を読者対象として想定した入門書のようだ。社会学の観点ならこのように論じている、という演習的要素もあり、実例と方法論との組み合わせを明示しながら論じた論考も見られる。

 タイトルは「街場の社会学」とする方がしっくりするかもしれないが、某氏の某シリーズが連想されてしまう。《巷仔口社會學》の場合は、それぞれのテーマについて、きちんと専門家が書いているので、趣旨が全く異なる。

 好評だったのか、第二弾としてジェンダー関連の話題を網羅した《性別作為動詞:巷仔口社會學2》も刊行されている。

 一つひとつのトピックが読み切り形式で分かりやすいというだけでなく、外国人読者の立場からすると、今の台湾でどんな社会問題がホットなのかを通覧できるという意味でも非常に役立つ。ある程度のレベルまで達した中国語学習者の副読本としても面白いだろう。現代台湾社会を知る窓口になるし、同時に社会科学系の用語も習得できる。