本を通じて台湾のことを紹介するサイト「もっと台湾」に、「台湾史を知るためのブックガイド」を連載することになりました。「もっと台湾」の趣旨についてはこちらをご覧ください。

  今回のテーマは「概説書を読んでみる」(2回に分かれており、1回目はこちら、2回目はこちら)。台湾のことをとりあえず知りたい──そんなとき、どんな本から手に取ったら良いのか、結構迷うと思います。

  どんな本であっても、作者が心血を注いで書き上げた作品である以上、そこから汲み取れることはたくさんあります。ただ、台湾史についての概説書を読む場合に注意しなければならないのは、作者の思想的立場や書かれた時代背景によって、歴史の解釈が大きく異なってくること(歴史というのは往々にしてこうした宿命から逃れられないものですが)。

  そこで私は、複数の異なる著者によって書かれた台湾史の本を読み比べてみることをお勧めしています。書き手によってこんなに解釈が違うものか──そうしたあたりが漠然とでも実感できれば、歴史について自分の頭で考える第一歩を踏み出したことになります。今回の記事がそのためのご参考になりましたら幸いです。

  なお、今回は叙述の流れの関係でいくつかご紹介できなかった本もあります。例えば、国立編訳館・編集(蔡易達・永山英樹・訳)『台湾を知る──台湾国民中学歴史教科書』(雄山閣出版、2000年)、喜安幸夫『台湾の歴史──古代から李登輝体制まで』(原書房、1997年)などですが、合わせてご参照ください。